国内には多くの工房があります。
リシャフト調整、ライ角ロフト角調整、スパイン調整・・・等々
◯◯調整と表記されていますが、本当に調整というものを理解して表記されているのかと思います。
最低限のクラブ調整定義
・調整前と調整後のクラブデーターを採取して保管していること
・プレイヤーのグリップ太さをデーターとして保管していること
・シャフト中心軸でのライ角ロフト角測定および調整を行っていること
・リシャフト時におけるシャフト挿入長を把握していること
・スパイン調整の際は事前にシャフトの反り曲がり試験を行っていること
・パター以外のクラブにおいてグリップの太さを揃えること
上記で述べていることが調整と言える最低限のレベルです。
バランスがD1とかC8とか見聞きすると思います。
バランス数値は統一規格では有りません。
測定器が変われば数値が変わります。
下記の3機種が代表的なものですが同じ数値は出ません
当店に3機種がありますので間違いないです。
一番問題なのはバランス数値の意味を理解していないクラフトマンが多すぎます。
D1数値のドライバーを軽いグリップに交換したのでD3になりました。
D1からD3になったのでヘッドの良く効くのでシャフトがシナリますよ
グリップが軽くなっただけでシャフトのしなりが増えたりしません。
0.5インチ(約1cm2mm)伸ばしてD1からD3になってもシャフトが柔らかくなりません。
レディスの滅茶苦茶柔らかいシャフトなら少し長くすればシナリは増えます。
シャフトをしならせているのは重りであるヘッドです。
ヘッド重量を増やすことがシャフトのしなりが増えるバランス調整です。
重いグリップに変えてバランス数値が減ってもシャフトのシナリが硬くなったりしません
これも重りであるヘッド重量が変わっていないからです。
バカ程、重くて太いグリップを付けたときは振りにくさからシャフトのシナリが減る場合はあると思います。
パター以外、全てのクラブにおいてバランス数値を揃えるなんてことは
慣性モーメント調整の観点からは無意味な調整であり
戦えるクラブを作るための調整としても無意味です。
国内においてのバランス崇拝、振動数崇拝は昭和の時代から続いています。
上記はシャフトの固有振動数測定器の代表例です。
左図の計測器は工房で一番使用率が高いものです。
数値が高ければシャフトは硬く、低ければシャフトは柔らかい、目安になっています。
振動数測定装置の始まりは40年ほど前に
シャフトで有名なフジクラさんから発売されました。
当時で45万円前後の高額測定機でした
現在でしたら左図の計測器で9万円前後です。
10万円近い測定機だから、かなり高性能と思われている方が多いと思います。
シャフトの振れを感知する電子制御部分+デジタル表示+電源部
これらの材料費を合計すると◯千円ほどで
回路設計においては工業高校の電子科の生徒さんなら作れます。
測定器と言うよりは治具レベルのものです。
目安にはなります。
複数のウェッジ、アイアンセットに同じシャフトを装着している場合の測定
FW(3w.4w.5w.7w)やUT(U3.U4,U5)において同じヘッドで同じシャフトを装着している場合
これらの場合は短くなるほど数値が増えていなければ
不良品に近いシャフト装着されているのではと言う目安となります。
間違った使い方は
リシャフトした時に以前の数値は250cpmで
今回のシャフトは260cpmなのでシャフトが硬くなったと言う表現です。
以前と今回のシャフトが同じメーカーで同じ型番でRからSに変えたのでしたら正しい表現ですが
A社の60S(元調子)からB社の60S(先調子)にシャフト交換して場合は
数値が増えたから硬くなっという表現は間違いです。
異なるシャフトに変えたのに振動数数値は以前と同じが良いという考え方は間違いです。
振動数の数値は先調子ほど高く出ます
太いグリップに交換しても高く出ます。
あくまでも目安程度に使用する治具的な測定器です。
わたしが運良く修行出来た工房は
プロや目利きが強い廣野ゴルフ倶楽部メンバーさん御用達のお店でした。
想像を絶する厳しい注文を目の当たりにしました。
アイアンセットの1本だけ左からシャフトが入っているから直してほしい
以前使っていたセットと同じグリップの太さにしてほしい
アイアンと同じシャフトをウェッジに装着したら振り心地が変わった
ソケットを指で触った時にヘッドとの段差が有るのでスムーズにしてほしい
スイングの形に合わせたライ角に調整してほしい
あげだしたら切りがないので、ここらで止めておきます。
私は過去に賞金王や賞金女王のクラブ調整依頼を受けた経験もございます
学生日本一、プロテストを受講生、トップアマと戦うゴルファーの多くから依頼を頂いており
現在もクラブを武器として考えるプレイヤーから依頼を受けております。
クラブは戦うための武器だから自分が使いやすいようにするのは当たり前です。
武器の仕様リスト(データー)を作り保管するのも当たり前のことです。
クラフトマンとして当たり前の事をできない人が多いことから
グリップ交換やリシャフトぐらいならDIYで十分だと思われる方が増えているのだと思います
はじめに述べた最低限の調整に加えて
シャフトの振り心地を揃える慣性モーメント調整
測定器が市販されていますので誰でも測定できますが
アイアンセットなら番手間の重量ピッチを考慮した調整
プレイヤーの体力に応じた慣性モーメント数値
シャフトのしなり特性によって変化する数値への対応
ウッド・UT・アイアン・ウェッジの数値設定
武器にするための調整と慣れば、かなり複雑です。
測定して数値を揃える簡単なものでは有りません。
グリップ太さを揃える、握りやすい太さを決める
太さを揃えるためにはシャフトの太さを測定しなければなりません
シャフトは真円ではありませんのて最大値を数ポイント測定します。
プレイヤーによって太め・細め・中間のしずれがマッチングするのかを
プレイヤーの身体特性タイプによって見極めます。
シャフトの選択
体の使い方、スイングリズム、体力によって決定します。
プレイヤーが体重移動タイプなのか回転主導タイプなのか
シャフトに負荷を強く掛けて切り返すタイプなのかどうか
振り抜く方向で力が出るのか、叩く方向で力が出るのか
プレイヤーの身体特性タイプによって見極めます。
ヘッドの選択
当店が取り扱っているのは地クラブと言われるものです。
地クラブメーカーの中でデーター開示をしっかり行ってくれて
なおかつ重量指定等の相談できるメーカーから
プレイヤーの身体特性に合うヘッドをオススメします。
当店使用の測定機
慣性モーメント測定機
シャフト単体測定時アタッチメントを3Dプリンタで自作
スパイン調整用測定機
反り曲がり試験で合格したシャフトのスパインを計測します。
当店のスパインは硬い面を探すのではなく
シャフトがしなる柔らかい面を探します。
この方法はツアープロ複数名のテスト結果から決定しています
重心アングル測定機
ヘッドが自然とターンする角度を測定する装置です。
スパインの向きを決定する際に必要な項目となります。
ライ角ロフト角測定機(測定のみに使用)
測定誤差±0.1°
ライ角ロフト角調整器
下記の調整器はヘッドネックを曲げる時のみに使用
この調整器はヘッドを毎回同じ位置にセットするのが、ほぼ不可能であり
ライ角ロフト角の数値測定をシャフト側面のアナログ測定のため
信用のできる数値では有りませんので曲げるのみに使用しています
グリップ装着治具
センター装着出来るようにラインモジュールを使用
クラブ調整にも様々なパターンがあります。
・現在ご使用されているキャロウェイやテーラーメイドのクラブが
お客様の身体特性に合うヘッドなのかシャフトなのかを判断した上で
どのような調整が適しているかを相談の上、決定します
・お客様の身体特性を診断した上で地クラブのヘッドに
メーカー製のシャフトを装着するフルオーダーメイド
お客様がゴルフに対して使える予算によって推奨できる調整は変わってきます。
最低限使いやすいクラブとしての調整は太さを揃えたグリップ交換
プレイヤーの構えに合わせたライ角ロフト角調整(ヘッド素材が調整可能なものに限る)
この2項目が調整の入り口とお考え下さい。
ここから先はお客様とクラフトマンとの相談が一番のお薦めです。
一番はプレイヤーの身体特性を把握してクラブ調整をすることです。
間違った動きの時に使いやすいと感じるクラブを提供するのは
プレイヤーの上達という観点からですと間違った調整となります。
まずは大きく、体重移動タイプと回転主導タイプの2つに分け
そこからシャフトに対して負荷を強くかけるタイプか否かを判定
プレイヤーの身体特性にあった適正ヘッドと適正シャフトを知って頂き
正しい握り方に適したグリップの太さを知って頂く
身体特性にあった動きをお客様に知って頂き
その上でクラブを選択するのが私が思う一番正しいフィッティンクです。
現在シャフトにかかる力を可視化出来るSLAPという測定器がございます。
正直なところ高額すぎて手に入れることができませんが
現在2024年のフィッティング測定器においては一番です。
プロなどのスイング完成度が高いプレイヤーにとっては最高のフィッティング測定器です。
プロがSLAPで測定した際に推奨されたシャフトは
私が判定している身体特性に適したシャフトになっていました。
身体特性に合わないスイングをされているアベレージの方にとっては
いまのスイングでベストなシャフトが見つかるフィッティングになると思います。
数日後のコンペで悪いスコアを出したくないという観点であれば
現在のスイングで良い傾向が出るクラブやシャフトにすることは正解です。
但し、自身のパフォーマンスを上げて上達したいのであれば
目先のフィッティングより先に自身の身体特性を把握して正しい動作を手に入れる
その上で身体特性に合う方向のクラブを使用する
そして、さらなる上達を目指すのであれば細かいフィッティングを受ける
わたしにSLAPがあれば鬼に金棒ですが・・・・頑張って稼ぎます。